院長就任のご挨拶

医療法人博愛会 別府中央病院
病院長 田村 洋一
●日本外科学会認定医
●日本消化器内視鏡学会専門医
●日本消化器外科学会認定医
●日本医師会認定産業医
●日本医師会認定健康スポーツ医
●日本大腸肛門学会会員

この度、四半世紀以上に亘り院長を務めた内田一郎先生からその職を引き継ぎました田村でございます。私は昭和61年に大分医科大学(現大分大学医学部)を卒業し、大分医科大学第一外科に入局しました。同第一外科で一年目、九州大学生体防御医学研究所付属病院(現九州大学病院別府病院)外科で二年目の研修を終えました。以降、国立福岡中央病院(現九州医療センター)外科を経て、大分医科大学大学院(第二病理学教室)に進学し、分子生物学的手法により免疫の研究をしました。その後、県内の消化器外科病院に勤務し、平成19年から現在に至っております。

 さて当院は半世紀以上前に当地に始まり、幾多の変遷を経て今日に至っています。私が研修医の頃は県下でも有数の救急病院であったかと思います。現在の当院の立ち位置は別府市内の基幹病院(九州大学病院別府病院、別府医療センター、厚生連鶴見病院、新別府病院等)と一般の医院(クリニック)の中間にあります。通常、患者様は何か症状があれば近所の医院(クリニック)や当院のような中小病院を受診されると思います。そこでは確定診断や治療が困難とされた際はより充実した機器、技術を擁する中小病院や基幹病院に紹介されます。当院では通常の外来および入院診療の他、ご紹介を頂いた際は、小規模な医院では困難な検査等を行い外来治療、入院治療を致しますがその状況によっては基幹病院に依頼(紹介)することもあります。

 当院の最大のアドバンテージは入院された方、ご紹介を頂いた方は将来に亘っても関わらせて頂くことです。患者様の病態や社会的背景等を考慮し、現在の医療制度に勘案し、適切と思われる病棟(地域包括ケア病棟、医療療養病棟、特殊疾患病棟)、介護医療院で治療、療養、介護を継続します。嘗てのような最先端の治療は出来ないかもしれませんが身の丈に合った医療を精一杯遂行したいと思います。『自分が患者だったら、自分の家族が患者だったら』を判断の礎に据え診療を致します。私の専門の胃腸科、肛門科を例に挙げれば、何か腹部に異状があれば血液検査や CT 、MRI、内視鏡検査等で大半は診断がつきます。胃、大腸の内視鏡検査や痔の治療であれば当院で行います。患者さんのご要望を尊重し、お待たせすることなくこれらの検査が行えます。大抵のポリープは当院で切除可能です。また痔核(イボ痔)であれば最先端の治療を提供しております。一方、当院では治療が困難と思われる進行したポリープや悪性腫瘍は緊密に連携をとっている基幹病院に依頼(紹介)します。また基幹病院で急性期治療を終えられた方で直ぐには自宅復帰が出来ない方は当院に入院され、リハビリテーションを行い、体力、身体機能の回復を図ることが可能です。不幸にも回復の見込みがないときは当院の訪問看護ステーションを利用した自宅療養やそれが適わない場合でも当院で最後まで緩和ケアを受け続けることが出来ます。

青春小説『青が散る』(宮本輝著)のなかに学生時代からモットーにしている一節があります。ある新設大学のテニス部が創部間もない頃、紆余曲折の中で、伝統校のテニス部に打ち勝つために掲げた『二流の上は一流の下よりも強い』であります。私どもは先進医療は出来ないという観点からは二流かもしれませんが地域連携を通じて切れ目のない医療が提供出来ます。最後にはよかったと思って頂ける誠意ある医療・介護を目指して努力してまいります。今後とも当院を宜しくお願い申し上げます。                                  

 令和2年 4月1日 

令和2年2月19日
大分大学学長室にて