
元日から落ち着いた年明けになり、今年は幸先の良い一年のスタートを予感致しました。ところが1月3日に米国によるベネズエラ大統領拘束というニュースが舞い込み、世界情勢においてただならぬ不安を覚えました。以前より思っていることですが、特に昨年から今年にかけて、『中庸』がkey word(最も大切な言葉)だと思っています。AIによると『中庸』とは儒教における中心概念の一つで、偏りがなく、過不足のない調和のとれた状態を指します。世の中が安定している時に曖昧・中途半端な状態を中庸(な状態である)と合理化(勘違い?)し、政治は国内外の懸案に関して難題を先送してきました。そしてそのツケが現在回ってきたような気が致します。
医療保険制度においては2年前から入院時にどのような治療を目指すのか、主に高齢者の慢性期の治療において、明確にすることが求められるようになりました。これはadvance care planningと言われています。この意味が分かりにくいため、『家族会議』とも呼ぶことになりました。これは高齢者の慢性期の医療が中庸になるよう患者本人(実際は困難なことがしばしばですが)、家族、医療者間で入院時に治療計画を建てることを意味します。
今年は年頭のご挨拶に際し、当院の立ち位置をご紹介したいと思います。医療系機関には大学附属病院等を頂点にした役割分担があります。頂点は 一、 時に採算を度外視した高度先進医療を開発、実践します。中庸を超える場合があります。(医学・福祉の発展に寄与) 次は 二、高度先進医療を実践し、目の前にある疾患をひたすら解決すべく医療を実践します。(先ずは救命) 以下、三、医療の最先端という立ち位置ではなく、その後を想定した中庸を実践します。 四、治療は行うがその主眼は患者、ご家族が可能な限り安楽に過ごせるような医療を行います。(緩和ケアも含まれる) 五、治療は行わず、良質な人間的生活を少しでも続けられる様に介護を実践します。 以上5クラスに分類してみました。そうしますと私たちスタッフは(一),二を経験して当院に赴任してきましたが現在の立ち位置は三、四を実践しているところです。即ち① 私たちは一、二で一旦治療を終了した方を受け入れています。② 最先端の治療が尽くされ、それ以上の治癒が難しくなった方を受け入れています。③ 施設、自宅では対応が困難になった方を受け入れています。以上は入院を念頭にした場合ですが、外来診療においては① 初期治療が必要な方を受けます。② 標準的な治療で治癒が見込まれる方を受けます。③ 先ずは診て、必要とあれば、一、二に該当する病院への橋渡しをします。④ 予防医学として質の高い健診を目指し行なっています。
年頭、この時期に世代によってまだまだ不要と思いますが自分の最期のかたちをよく考えて、ご家族と話し合っておくことは大切なことだと思っております。その結果に対し『中庸』をもって応えたいと思います。また私たちは二次救急を行なっています。以上に述べた立ち位置を念頭に置き、なるべく救急を受け入れられるように努力します。現状において人手不足は否めません。そのためにもご賛同を頂けるスタッフが必要です。現在、私はこれらのことを支えるだけの人員の確保に注力しているところです。
大変微力でございますが本年もよろしくお願い申し上げます。
令和八年 一月吉日 院長 田村洋一
